2017年10月3日火曜日

情報

グラス(アイスクリーム)・ソルベの
安定剤の吸水方法


この方法は、パティスリーで、
「使用するゼラチンをあらかじめふやかす」という原則を、
安定剤に応用させることで考え出された、
リュック氏オリジナルの方法です。


リュック氏がMOFの試験を受ける際に開発した方法で、
その後科学的な裏付けも得られているとのことです。

通常ゼラチンを使用するときはまずは水でふやかし、
それから他の材料と混ぜ合わせるため、
一定の温度で溶かします。



安定剤を吸水させるのにも同じ方法を用います。


安定剤(グラス用に乳化剤を含むもの)を使用する場合、
液体の一部(安定剤10gに対し牛乳300g)に加えて、
ラップで全体を念入りに密閉し、
電子レンジで加熱してふやかします。

加熱時間は800Wで約5分ですが、
電子レンジの出力数や製品の分量によって変わります。

これにより気圧の上昇と低下が生じます。
そのため容器の中で真空状態が作り出されます。
ラップが内側にへこむのがわかります。



これが安定剤が変化する瞬間です。


この工程の前の段階では、液体一滴におよそ十個の
大きな気泡が顕微鏡で確認できます。
真空状態にした後、顕微鏡で確認すると、
液体一滴の中に数十個の小さな気泡が出来ています。
安定剤が十分に吸水し、機能する状態となっており、
他の材料と混ぜ合わせて使用することで、
グラスのテクスチャーと風味が向上します。


この後の工程は、ふやかした安定剤を
残りの材料のミックスと混ぜ合わせ、
加熱殺菌してアイスクリームマシンにかけるだけです。

ソルベの場合も同じ手順で、牛乳を水に置き換えて使用します。


この方法は電子レンジで簡単に出来、
通常のように生地を冷蔵で熟成させる必要がないため、
仕込んですぐにアイスクリームマシンにかけることが出来る点が、
大きなメリットです。


ぜひ、一度お試しください。


<リュック・デュボーヴ Luc Debove氏 経歴>


2007年~2016年 仏コートダジュールにある5つ星ホテルの
グランホテルデュカップフェラにてシェフパティシエとして活躍。

2010年 アイス世界大会(リミニ)優勝。

2011年 フランス国家最優秀職人MOF グラス(アイス)部門を取得。

現在はリュック・デュボーヴ・コンサルティング・エ・クレアシオン社を
立ち上げ、コンサルタントとして世界中で活躍中。